●郵貯の破綻、銀行の倒産、年金の崩壊

郵便貯金は不安定で、いつ破綻するか分からない預け入れ先です。ここに集まった預金者のお金は、ご存知の通り財投(財政投融資)に回され、財務省資金運用部が実際には自由にお金を使っています。その大半は日本国債の購入であり、株価の下支えのために株式市場に投入され、また特殊法人への予算として無目的に振り分けられています。昨今、この事実が明るみになるにつれ問題となっていますが、実態はなんら変わらず、一部の人が好き勝手に使っている現状は残念ながら、変わらないのかもしれません。

郵貯の貯蓄高は約600兆円ほどだと言われていますが、学識者の話だと、実際に窓口で引き出しに応じられる額は30兆円ほどだと言います。何かのはずみで、預金者が一斉に郵便局の窓口に殺到し、引き出しを要求した時に、国は果たして返還に応じるのでしょうか?そうなると膨大に購入した日本国債を市場に放出する以外、返還資金を用立てる手立てが無くなりますが、これ以上、日本国債の格付けを下げさせたくない政府は、郵貯の保有する国債の市場流出を認めるはずがありません。

これだけ問題視されている郵貯なのですが、預金者の感覚は非常に曖昧で、いざとなったら国が助けてくれる、まさか郵貯が潰れる訳ない、という前時代的な価値観に縛られているのですから、危険きわまりないと思えてなりません。潰れるはずがないと思われてきた大手銀行もあっさり潰れ、年金も崩壊同然。これからの時代は、いつ何が起こっても不思議じゃないですから、後々になって慌てないように自己管理を怠らず、常に危機感を持った自分自身の資産保全が求められます。そこから角度を少し広げると、何も全額を日本に置いておくことが正しい選択でないことに気が付くかもしれません。やみくもに海外へ資産移動をすることも賛成しかねますが、基本的な財産三分割を用いて、ご自身でリスクへッジ(危険回避)を考えることこそ重要なのだと思います。