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体力と気力と年齢
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●体力と気力と年齢
海外生活を実践するにあたり、健康な体を維持するのはとても重要なポイントです。年齢相応の体力と気力を保ち続けるためには、ひたすら興味を持ち続け、楽しみ続けることだと思います。70歳を過ぎても健康で若々しく輝いている方もいらっしゃると思えば、20歳代の若さでありながら、自ら興味を持つことを放棄してしまったかのような方もいらっしゃいます。身体的年齢と精神的年齢は必ずしも正比例するということではありません。
海外生活を求めるために、毎年、多くの皆様がわざわざ私のところまでカナダ旅行を兼ねながら、ご相談に来られています。年齢、職業などは様々です。こうした皆様とお会いし、お話をお聞きし、ご相談を受けておりますと、実にいろいろなことに気がつきます。
年間約50名以上のご相談者の方々とお会いしますので、今までに300名以上の方とお会いしていると思うのですが、比較的年齢の上の方ほど、希望を抱く姿勢が強いことを実感します。反対に年齢が若くなるほど、良くいえば現実的なのですが、希望を抱く前にすでに諦めてしまっている雰囲気が強く出ているように思えます。
(1)海外生活を求める60歳代以上の方の印象
この年代は非常に積極的です。。海外旅行経験が豊富で、退職後の生活スタイルとして海外生活を組み込むことを考えています。予算計画がしっかりしていて、現実を見極めた上で手の届く範囲の海外生活を目指しているタイプが多いです。治安、環境、物価に重点を置きながら、理想的な海外生活の場を探しているのですが、海外生活に関わる「本当の情報」と、「情報のようで実は単なる宣伝」 の見極めが意外とできない弱さがあるように見受けられます。
たとえばインターネットに関しても、情報の受け手にとどまってしまい、インターネット上で自ら情報を発信できない方が大半だと思います。また、テレビで放送していたこと、雑誌に載っていたこと、新聞で報道されたことを、疑いなく信用してしまう傾向が強く、溢れる情報を見極めていくことが苦手なようです。その結果、海外生活やロングステイなどをキーワードに使ったパックツアーに、何の疑いもなく参加し、あたかも斬新な情報を得た、体験した、と錯覚してしまう方も多いと思います。
(2)海外生活を求める40歳〜50歳代の方の印象
日本の不景気に左右されるとても厳しい年代なだけに、実践するにあたっては、可能性が限りなく100%に近い方と、限りなく0%に近い方に分かれてしまっています。その要因は予算の問題です。住宅ローン、教育費、医療費、保険料など、可処分所得を圧迫する各種負担増が、先行きの展望を暗いものにしてしまっています。
海外生活を実践するにあたっては、贅沢をしなくともある程度の予算は必要となります。その予算を準備できない方が多い年代が、この40〜50歳代に集中しているように思います。
世代的には、新婚旅行が海外だった、という方が多く、複数回の海外旅行を経験されているので、海外生活に対する憧れをとても強く持っている世代です。将来の年金支給額が、いったいどれくらい減額されるのか?果たして年金で生活できるのか?という退職後の不安を考え始めると、海外生活に対する希望よりも、将来の生活に対する不安のほうが強くなってしまうあまり、海外生活を具体化する方法論を見つけだす余裕がなくなっている方も多いと思います。反対に、この世代の方ですでに海外生活を実践されている方、準備段階に入っている方は、とても計画的で、将来設計をきちんとお持ちの方ばかりだと思います。
(3)海外生活を求める30歳代の方の印象
この世代になりますと、留学やホームステイの経験者が多く、英会話も堪能な方が多くなります。一通りの海外旅行経験もあるため、日本と外国の距離感をさほど意識しなくなっているようです。身近に海外生活をしている人を知っていたり、海外生活の情報を見極めるテクニックも備えている傾向があります。また、多かれ少なかれ、自分には海外生活のほうが適している、というある種の錯覚を抱く人も多くなります。
しかし、仕事に追われて身動きがとれなくなり、思うように海外旅行ができないジレンマに襲われるため、海外生活に対する憧れが強くなり、日常の生活から逃避する人も増えているように思います。また、物質的に豊かな時代に育ち、バブル期を体験しているだけに、実際に海外生活をすると、思うような品物が手に入らない外国生活が、おっくうになる特徴もあります。情報を入手しながら、理想的な将来の海外生活のための資金づくりをスタートしている人も目立ちます。
受験と就職、というレールに乗っていた世代のため、海外で働くことに対して独創的なイメージを描けず、海外に行ってもサラリーマン的な就職を求めようとする傾向が多いです。そのため、海外の生活事情、特に雇用事情の実態を知り、意気消沈してしまう人も多いようです。
(4)海外生活を求める20歳代の方の印象
留学、ホームステイ、ワーキングホリデーなどで、海外に出る世代です。日本の景気低迷の折り、一度就いた職から離れることに大きなリスクを背負いながらも、海外に出る夢を強く抱いている人だけが、この世代のうちから海外生活を考えるようになります。海外生活を実現するためには、英語がしゃべれなければならない、というある種の強迫観念に取り憑かれる人が多く、結果として英語は身に付いたけれど、海外生活のノウハウは身に付かないまま終わってしまった、という人も多いようです。この世代の時に、国内外を問わず、様々な人脈を築きあげられる方は、その後の海外生活に大きな展望を見出す可能性が高くなると思います。ただ、世代的にフリーター、アルバイト、契約社員という、いわば非正社員としての職種経験しか無い人も多く、職種経験としての専門キャリアが乏しいため、海外生活と現地での仕事のミスマッチが生じてしまうことが多々あるようです。海外生活を実現するための具体的方策を練るという作業ができない方が多いと感じています。
このように、それぞれの世代的な特徴を、全くの私見で表してみました。どの世代にもそれぞれの課題があると思うのですが、自己の努力でどうにかなる課題なのか、それとも社会情勢や政治によって影響されてしまう課題なのか、によって対処方法が違ってくると思います。問題は、海外生活を実現するおおよその時期を決めた上で、それまでに何をしなければならないのか?を徹底検証してみる必要があると思います。
仕事で日本に帰国しますと、20歳代の方々とお話をしたり、ご相談を受ける機会が多いのですが、それぞれの希望や夢がありながら、都合よく諦めてしまう人も大変多いのです。それはお金の問題で、彼らは「でも、お金がないからな・・・」ということを必ず決まり文句のように口に出します。夢を実現するために、お金が必要だとするなら、そのお金を作るように考え、努力してみるということを何故、しないのだろう?と私はいつも不思議でなりません。その気になれば不可能じゃないはずです。しかし、簡単に諦めてしまう人が残念ながら大変多いように思います。仮に、70歳の方が、今から努力して20歳になる、とがんばっても、それは不可能なことです。努力ではどうにもならないことは仕方ありません。努力してできる可能性があることを、諦めてしまうと、結果として海外生活も実現しません。
単純にお金があるから海外生活が実現できる、という訳ではありません。また、若いから海外生活に適している、ということでもありません。それぞれの年齢にあった考え方で、海外生活の実現性を探り、方法論を練り、実践していく、ということなのです。海外生活を実践するにあたり、年齢は一切関係ないのです。
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