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ホントにやりたいことは何?
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●ホントにやりたいことは何?
海外生活を目指してみよう! と思われた場合、海外生活で具体的に何をするのか?ということを冷静に考えてみてください。実は、このことはとても大切なことなのです。多くの方々と接する中で、私はいつも「海外生活を実現したら、何をやりたいですか?」と質問しています。もちろん、人それぞれ立場も環境も趣味も様々ですから、正しい答えなどありません。要するに自分が本当にやりたいことが何であるのか?が分かっていればいいのです。
退職後の海外生活を考えている方には、下のようなご意見が良く聞かれます。
(1)海外でのんびり暮らしたい。
(2)外国の文化に触れながら暮らしてみたい。
(3)現地の人とコミュニケーションを深めたい。
どれもステキな目的のように思えてしまいます。しかし、これは非常に抽象的すぎて、私から見ると危険きわまりない、と思えてしまいます。たとえば、(1)の海外でのんびり暮らしたい、というご意見は圧倒的に多いのですが、残念ながら、のんびり暮らすというのは、たいてい3日で飽きます。そして4日目には苦痛になって、5日目になると日本に帰りたくなります。これは間違いありません。無目的に暮らしてみても、何もおもしろくなく、やることがない生活など、苦痛以外の何物でもないことに気がつかなければなりません。(2)と(3)についても同じことが言えます。一見すると、とても真面目な目的のように見えますが、ちょっと意地悪な言い方をするなら、「中身の無いきれい事」なのです。海外生活の目的は、具体的な方法論が伴っていなければなりません。
何を、どうやって、どれくらいの頻度で、外国の文化に触れるのか?
何を、どうやって、どれくらいの頻度で、現地の人とコミュニケーションを深めるのか?
大切なのは、この「何を」、「どうやって」、「どれくらいの」、を自ら知っていないと、結局のところ何もできないまま、海外生活をすることになり、(1)と同じように退屈になり苦痛になるのが、大体の結末です。退職後の海外生活の罠は、無目的でいると必ず退屈地獄に陥る危険性があるということなのです。
私は明けても暮れても仕事をしていますので、まず退屈になりません。それどころか時間が足らず、次から次へと舞い込む依頼をこなさなければなりませんから、退屈になっている暇がないのです。一般的に、海外生活をしている立場で、仕事を持っている方は、私と同じようなパターンになります。あるいは、日本で仕事を続けながら、年間の数ヶ月を海外で暮らすという半分リタイア的な生活の方も、メリハリが効いた生活スタイルになりますから、退屈することなくエンジョイされています。しかし、完全な退職後の生活に入られている方の場合は、自ら行動を起こさないと、することが何も無い訳ですから、知らず知らずのうちに退屈病に陥るケースが懸念されます。
以前、私の両親が海外生活をしたい、と言い出したことがあります。長男の私がカナダで暮らしていることに感化されたのか、ハワイかオーストラリアあたりで、年間の数ヶ月間を過ごしてみたい、と申し出てきました。私は、海外生活をする目的を問いただしました。出てきた答えは、「のんびり過ごしてみたい。」という内容でした。私は、迷うことなく、「あなた方に海外生活は無理だから、お止めなさい。」とアドバイスをし、むしろ手近なところから、添乗員付きのパックツアーに参加して、方々の外国へ旅行した方がいい、と伝えました。私の両親は揃って商売を営んでいましたが、趣味もなく、遊ぶこともなく、ひたすら仕事に没頭してきたため、本当にのんびりすることなど出来ない性格だということを私は知っていたからです。これが、もし、「海外で新しい商売を立ち上げたいからだ。」と父親が言ったとしたら、私は迷うことなく「それはチャンスだから行くべきだ!」と大声で言ったことでしょう。
その人それぞれに、退屈になどならない何かをきちんと持って頂いた上で、海外生活に取り入れてもらえさえすれば良いのです。仕事でも遊びでも、何でもいいのです。それが何か?を是非、見つけてください。そして、その具体的な方法論や課題、対処法も同時に探ってください。
「ゴルフが好きだから、海外生活をしたらゴルフを毎日したい。」 こういう方はとても多いです。私もゴルフが大好きですからお気持ちは大変よく分かりますし、目的としては申し分ありません。では、その大好きなゴルフをするために、具体的な方法論や課題、対処法についてはどうですか?といことを考えてみます。海外生活でゴルフをしたい、という方が抱いているイメージは、
(1)海外のゴルフは日本より安い。
(2)日本の隣近所の目を気にすることなくゴルフが毎日できる。
(3)外国でゴルフが出来ることが夢のように刺激的で面白い。
だいたい、このような内容です。これは、海外でゴルフをしたい、という動機、理由としては正しいと思います。それでは、次にそれを実現するための方法論はどうか?と考えてみます。「方法論など必要ない。お金さえあればゴルフは出来るだろ!」と思ってはいけません。まず、ご自分一人、ご夫婦の場合だったら夫婦1組で、毎日、海外でゴルフをしていることをイメージしてください。
(1)毎日のゴルフは一人ぼっち。あるいは奥さんと2人だけで、本当に楽しめるのか?
(2)もしかしたら、知らない現地の人と組まされるかもしれない。
(3)18ホールを慣れない英語で会話できるだろうか?
(4)それも刺激的だし、外国らしくて楽しそうだ。
(5)でも毎日、それが続くと思うと、おっくうだ。
必ず、(1)〜(5)のすべてに該当するという訳ではありませんが、5つのうち、1つか2つは、「そうだよなあ・・・」と思われる内容があるのではないでしょうか?
私はカナダで「最高のゴルフ環境を持つ町」と言われるケロウナ市に住んでいます。我が家から車で10分20分の範囲に、カナダPGAチャンピオンシップコースをはじめとする見事なゴルフコースが8コースあります。ゴルフは好きですし、移動も車ですし、もちろん地理には精通していますから、やろうと思えば毎日でもゴルフができます。しかし、本当に一人だけでゴルフをやれるのか?となると、多いに疑問です。ゴルフをしていない日が1週間も続くと、乾ききった心境になり、一人でゴルフに出かけます。空いていれば一人でやりますし、そうでなければ現地のカナダ人と一緒に回ります。これはこれで楽しいのですが、果たして毎回、この調子でゴルフができるのか?となると答えは「NO!」です。たまにやるから、楽しいのであって、これが毎日となると、面倒になり楽しさも薄れて、やがて影も形もなくなります。
それでは、いったい、どうするのか? ここからがその対処法になります。
(1)気心の知れた友人とゴルフをすることが楽しいと思う。
(2)たまには、日本人と日本語だけのゴルフが楽しいと思う。
(3)現地に詳しい人、住んでいる人なら、安心して楽しいゴルフが出来ると思う。
つまり、誘ってくれる相手、一緒にゴルフをやってくれる相手、がいてくれた方が何かと心強いはずですし、安心感もあるはずです。特に海外生活をスタートして間もない方にとっては、先に海外生活を実践されている方と仲良くなることで、ゴルフ以外の良いおつきあいに発展する可能性もあります。このように考えていきますと、ゴルフをやるにあたって、お金さえ払えばいいんだ、という理屈だけでは通らない要素が生まれてくることになります。
以前、私が知り合ったゴルフの好きな海外生活者の方のお話です。この方は、とにかくゴルフが好きで大変上手な腕前をお持ちの方でした。海外生活を初めた当初から、現地に住む日本人の方々と知り合っていくうちに、やがてゴルフ仲間も出来ていき、毎日のようにゴルフ仲間と、ゴルフを楽しむ日々が続きました。この方にとってみれば、まさに夢に描いていた海外生活だったのです。ところが、この方の横柄な態度や、無責任な言動が積み重なった結果、せっかく知り合ったゴルフ好きの現地の日本人の方たちは、一斉につき合いを辞めてしまいました。あっという間に、ゴルフをやる相手がいなくなってしまったのです。一人でゴルフに行く勇気もなく、一人ぼっちでゴルフをやっても面白くないことを知っていたのでしょう。せっかく海外生活をスタートされたというのに、大好きなゴルフがいつの間にか遠ざかってしまったのです。
このように、海外生活でやりたいことを見つけだした後は、それを実現できるような方法論や課題、対処法を考えておかないと、「こんなはずじゃなかったのに・・・」といことになりかねません。もう一度まとめますと、
(1)海外生活でやりたいことは何? やりたいことを見つける。
(2)それをやるためには、どんな方法論があるだろうか?
(3)それをやるためには、どんな課題があるだろうか?
(4)その課題の対処法は、どんなことが考えられるだろうか?
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