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自営業者として独立移住
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●自営業者として独立移住
まだ現役世代の働く年齢の方で、海外に移住を考える場合、いろいろな選択肢があると思いますが、私は個人的に「いっそのこと独立起業してしまう」という方法が一番理想なのではないかな?と思っています。ただし、これは起業後の実質的な業務を行わなければなりませんから、下記のタイプの方は該当しないと考えられます。
(1)すでに退職し、十分な資産がある人。
(2)独立起業以外の方法で永住ビザの取得ができる人。
(3)商売のセンスが全く無い人。
(4)退職はしていないが、十分暮らせる財産がある人。
海外に移住したものの、不安定な収入で先行きに展望が描けない、ということになるのは悲しいことです。日本人が海外に移住して、海外の労働市場の中で働くというのは、大変厳しい現実の中に放り出されるということです。「そんなことは分かっている」と簡単におっしゃらないでください。確かに日本も不景気で失業率は増加し、リストラの嵐の中、労働市場は厳しいのですが、それでも世界の中で、未だに日本は大変恵まれた労働市場なのです。これは海外で暮らす日本人の目から見ると明らかで、私も年に2回の帰国の度に、いつもそう感じます。
会社勤めでサラリーをもらう立場としたら、世界で日本が一番恵まれています。海外の労働市場は、よほど見込まれた特殊技能や才能、実績が無い限り、安定した待遇を受けることが出来ません。日本での資格や実績はほとんど参考にされません。それは世界的なレベルと言う意味の特殊技能や才能でなければならないからです。もっとも、そういう方は、わざわざ独立起業することなく、永住ビザが取得できるでしょうから、何も心配要らない訳です。
しかしながら、おそらくほとんどの方は、「自分には外国に認められる才能や特殊技能がないしなあ・・・」と思われるはずでしょう。そういう私もそうでした。また、海外に移住した後のことを想像してみてください。物価は安いでしょうけれど、もちろんタダでは暮らせません。それなりの収入を得なければなりませんし、平均以上の生活をしようと思えば、それに見合った収入の確保を考えなければならないのです。
現実はどうなのでしょうか? カナダはもとより、アメリカもオーストラリアもニュージーランドも、日本のサラリーマンのような固定月給やボーナスなどということはありません。。もちろん、固定給やボーナスなどを得る立場の人もいますが、経営者や一部のエグゼクティブと呼ばれる特殊な労働層に限られる話です。
私の認識では、たとえばカナダの場合ですと、労働人口の約7割は時間給で働いていると思います。固定月給でもらえるなど夢のまた夢です。キャリアや実績に応じて時給が上がっていきますが、危険手当や特殊技能職手当がつかなければ、時給8ドル〜9ドル程度でしょう。日本円で750円です。
日本人がカナダに移住して仕事を得たとしても、カナダでの労働経験や特殊技能が無いとすると、この条件になるでしょう。1日8時間のフルタイム労働で週5日勤務すると、4週間で12万円くらいでしかありません。ここから所得税が引かれますから、手取りは大体10万円とちょっと、くらいでしょう。「そんなに少ないの?」と驚いてはいけません。これはまだ良い方なのです。1日8時間のフルタイムで週5日の労働時間を与えてもらえるというのは、恵まれた待遇なのです。業績や社内事情によって、労働時間を減らされることはよくあります。労働時間を減らされれば、つまり収入が減る訳です。これが当たり前のことなのです。
「そんなに厳しいのか・・・?」とため息をつかれる方が多くなると思います。確かに、時給の良い仕事が見つかるかもしれません。ただし、いつレイオフ(一時解雇)されるか分かりませんし、各国の移民法的な解釈では、このようになってしまう恐れのある人には、国として失業者を増やしたくないという思惑がありますから、最初から永住ビザの取得対象外になってしまうのです。
ここで、先に結論を言います。
「海外に移住してどこかで働きたいなあ」 と考えている方。
その考え方では、
(1)移住するための永住ビザが取れません。
(2)従って、移住そのものが不可能になります。
大変厳しい結論ですが、これが本筋です。それでも諦められない方(私もそうでした)は、考え方を変えてみます。一体、どうやれば移住を許されるのか? 永住ビザが取得できるのか? その方法に合わせてみるのです。それぞれの国は、外国からの移住者に関して、難民と結婚を除いた場合、自国に利益をもたらす要因を求めてきます。たとえば、以下のようなものです。
(1)高額な所得と納税をその国にもたらす。
(2)雇用を促進する。
(3)事業を立ち上げ、推進する。
小室哲哉がアメリカの永住ビザを超スピード取得できたのは、彼の高額の納税がアメリカにもたらされるためです。このような例は、他にイチローだったり、松田聖子だったり、スポーツ芸能分野の高額所得者に多いのです。当然普通の庶民には無理な話です。次に自ら事業を興し、その国で雇用を生む立場になるという手段です。私はこれを利用しました。これは、ある意味、その国に対する直接投資の意味合いになりますから、初期投資金額が一定額をクリアしていれば、永住ビザの取得も最初から見えてきます。ただし、具体的な業務内容を何にするか、ということと、現地雇用を実現するためには、おのずと最低限の売り上げや営業利益を生み出さなければなりません。問題はそれが自分にできるかどうか、ということです。
(1)具体的な事業アイデア
(2)それに必要な初期投資と運転資金
(3)必要な雇用
(4)一定期間の実質的な業務運営
各国の移民局は、形だけの会社、つまりペーパーカンパニーでは認めてくれません。具体的な業務があり、指定される雇用数を確保していなければなりません。これは、それぞれの国で雇用数に若干の違いがありますし、その時々の社会情勢や失業率と関係してきますので、その都度、確認する必要があります。また、独立起業の商売なら何でも良い、という訳ではありません。将来に渡ってその国に利益をもたらす業種でなければ認められません。たとえば、下記のような内容ですと、認められない場合があります。
(1)環境破壊の恐れがある。
(2)生物兵器、化学兵器に抵触する。
(3)国内の産業を衰退させる。
(4)極度な価格競争。
こうしたものに抵触すると、仮にどんなに良いアイデアでも、認められないとお考えください。その上で、ある程度の見込みとアイデア、そして雇用の裏付けがなされるのであれば、いっそのこと海外移住を独立起業と位置づけてしまって、同時にスタートする方が、結果的に仕事も自分で作り上げながら、その中で収入を得ていくことになりますから、考えようによっては一石二鳥なのだと思います。ただし、この場合は最初から永住ビザにはなりません。基本的には就労ビザの枠内であり、自分の会社から自分へのビザ発給という形になります。そして、通常1〜5年間の観察期間が付き、業務実態のレポートを提出するなど、少々の煩わしさがあります。その後、正規の永住ビザを申請すると、間違いなく取得できることになります。
海外に移住する。そして海外で働いて収入を得る。この2つを同時にクリアしてくれるのが、独立起業としての海外移住だと思います。もっともそれなりのリスクも承知の上で、チャレンジしなければなりません。せっかく移住できても、商売が潰れたら、最終的な永住ビザの発給もされません。こうしたことを覚悟の上で、「やってみたい!」という方には、おすすめの方法です。
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