Kaigai Seikatsu Mates Association 「海外生活同窓会」
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嫌な話をすると
  ・海外生活は楽園じゃない
  ・退屈病に陥る危険性
  ・日本が恋しくて帰りたい
はじめに
海外生活は誰でもできる!
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激論・こんな日本に誰がした!?

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 退屈病に陥る危険性           ⇒このページを印刷

●退屈病に陥る危険性

 海外旅行に出発する前に、今では当たり前のように海外旅行者保険に加入することが一般的になっています。おおよそ、ほとんどの人が長期の海外滞在になればなるほど、病気やケガの不安を解消するために、このような各種旅行保険に加入します。海外生活を送る場合は、さらに慎重に考える必要があります。

 留学や永住、移住など、正規の滞在ビザを所持して外国に滞在する場合、公的医療保険制度のある国でしたら、その国の医療保険への加入ができますから、海外旅行者保険に頼る心配がありません。一方、観光ビザの範囲で外国に滞在する場合は、その人の立場は法的には旅行者であり、居住者ではありませんので公的医療保険の加入が認められません。

 こうした事実を基にして、それぞれに見合った適切な海外旅行者保険に加入します。病気やケガなどの対処に関しては、おそらく全ての方々が真剣に考えるのですが、実はこうした海外旅行保険や、各種の医療制度では問題が解決できないものがあります。それは「退屈病」という非常に厄介な病気です。

 海外生活を求める中で、「海外でゆっくりのんびり暮らしてみたい」と思われている方がとても多いのですが、先に結論を言いますと、海外でゆっくりのんびり暮らす、というのは、

 (1)せいぜい3日が限度です。
 (2)4日目には退屈になり、
 (3)5日目には苦痛になります。
 (4)そして日本に帰りたくなります。

 私は、これを「退屈病」と称しながら、海外生活を求める方々に強く注意を促しています。

 殺伐としたかのような日本での生活を送っていると、どうしても海外でのんびり過ごすことが、あたかも夢のように思えてしまいます。もちろん、そう考えることは間違いではないのです。精神的なリフレッシュを求め、1週間のハワイ旅行をする中で、何もせずのんびりしている、という旅行スタイルは理想的だと思います。しかし、これは数日間とか1週間からせいぜい2週間に限定された短期旅行です。旅行が終わると、また現実の世界に引き戻されることが分かっているので、一生懸命にのんびりしようと勤めるのです。

 このような短期旅行の場合は問題ないと思います。しかし、海外生活はある程度の長期間に渡ります。中には年間のほとんどを海外で暮らす場合もあるかもしれません。そうした時に、海外生活の主な目的が「のんびり暮らす」だけでは、退屈病に陥る危険性が高くなると思います。退屈病の厄介な点は、せっかく実現した海外生活が、面白くないと感じてしまうことです。あれだけ夢を膨らませ、下準備に時間をかけ、わくわくドキドキしていたはずなのに、一端、退屈病に陥ると毎日が面白く無くなってしまうのです。

 退屈病にならないためには、海外生活を送る中で何でもいいですから、

 (1)やりたいことや集中できることを見つける。
 (2)人に頼ることなく自分から積極的に楽しめるものを見つける。
 (3)ご夫婦や家族の共通の趣味や楽しみを見つける。


 以上のような何かを持つことが前提です。

 海外生活と海外旅行の大きな違いは、文字通り「旅行」と「生活」の違いです。「そんなこと分かっている!」と簡単に思わないでください。これを理解するのは実体験を通さなければわかりません。退屈病について、私はいつも注意を促していますが、この段階で「そうなのですか、なるほどねえ。」と意味を理解してくれる方が大体半分くらいです。後の半分の方は、「私は退屈病にならない!」と決めつけたり、「海外旅行の経験が豊富だから自分には問題ない!」と、意味もなく自信満々な方です。

 特に「よくある普通の海外旅行の経験」ほど、あてにならないものはありません。繰り返しますが、「旅行」と「生活」は別のものなのです。私は、海外生活を求める相談者の方々に、一般的な海外ツアー旅行の経験を一切お聞きしません。聞いたとしても、あてにならないからです。今まで本当にたくさんのご相談者とお会いしましたが、何も聞かなくても、進んで海外旅行の経験談を一生懸命になって喋る方がいます。どこどこの国へ行った、という自慢話です。これが全くあてになりません。

 海外生活を求める上では、何の役にも立たないわけですが、当のご本人の顔つきは、「どうだ!すごいだろ!」と言わんばかりです。こうした方々は、退屈病の話を全く聞き入れません。

 自分は退屈病になるはずがない、と意味もなく信じている人ほど、
 (1)海外ツアー旅行の数の多さを自慢する。
 (2)1度しか行ったことのない国や町の自慢話が止まらない。
 (3)外国通であるような素振りが多い。
 (4)人の意見を聞かない。


 「これだけたくさんの国を知っている自分は、退屈病など関係ない!」という態度になってしまいます。一方、ツアー旅行ではなく、海外生活のための個人視察旅行を経験されている方は、「海外旅行の自慢話」をしません。会話を続けていく中で、「この方は結構あちこちの国に行っているのだなあ。」と感心してしまうくらい、数々のご経験をお持ちの方ほど、同じ海外でも「旅行」と「生活」は別のもの、という認識をしっかり持たれています。

 退屈病にならなければ何も問題ないのですが、前者のように退屈病を自分とは関係ない、と思い込んだまま、特にはっきりした目的がない状態で海外生活をスタートし、「ああ、やっぱり退屈病になっちゃった」という人は、どうなるのでしょうか? 実際に退屈病になってしまった海外生活者を私は何人か知っています。その方々は、海外ツアー旅行に数多く行かれた経験から、「自分たちなら海外生活をステキに実行できる。」と自信満々です。

 しかし案の定、数週間が経過すると、最初は新鮮に見えていた風景も飽きてきます。観光名所などには毎日行っても意味が無く、特にスケジュールのない日々を送るようになります。こうなると退屈病の初期段階です。やることがなく退屈になってしまうと、その鬱憤をはらすかのように、すでに在住している日本人の知人に愚痴を言い始めます。ここから悪循環が始まってしまうのですが、退屈病にかかった人は気が付きません。

 海外生活を送っている町や国のマイナスポイントだけを取り上げて、自分たちの海外生活が面白くないのは、この町に原因がある、という理屈を並び立てます。しかし、聞いている側は、そのような話は面白くもなく、むしろ嫌な話でしかありません。こうしたことが数回続くと、その町が気に入って生活をしている日本人の方たちは、「嫌なら日本に帰ればいいじゃないか!」と心の中で思い始め、退屈な毎日を過ごす人との距離を置き始めます。このような関係は、もともと建設的な趣味やスポーツを通して接していた訳ではないので、楽しく過ごしている人にとってみると、退屈な毎日を過ごす人とお付き合いをする理由がないのです。しかし、退屈な毎日を過ごす人は、もはや日本人相手に、日本語で愚痴を言うことでしかストレスの発散ができなくなっています。

 退屈病になってしまうと
 (1)海外生活が退屈になる。
 (2)退屈になっているのに、素直にそれを認めない。
 (3)海外生活を送っている町に対する文句が多くなる。
 (4)在住している日本人と意味もなく接触したがる。
 (5)やがて在住者から距離を置かれ始める。
 (6)誰も相手にしなくなる。
 (7)さらに退屈になる。

 最悪の場合は、この(1)から(7)のスパイラルになってしまいます。せっかく求めていた海外生活が実現できたにも関わらず、何もすることがない毎日を送り続けるうちに、いつしか退屈病になってしまいますと、交友関係も育ちません。そうならないためにも、海外生活でやりたいことを自分自身でしっかりと明確にしてください。


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